有馬六景

    

ねね像の横に有馬六景の掲示板があります。

2020年で有馬六景ができて250年になりました。

 有馬温泉では、1753年(宝暦3年)、1766年(明和3年)と続けて大火に見舞われたため、湯治客も年々減るばかりで街は寂れていきました。

そこで、有馬をもっと世に広めて、湯治客を増やし賑やかな街にしょうと町の役家であった河上維萋有馬の優れた景色を選び、絵(下書き)に書きました。

 河上維萋萋ら6人の町の役家がこれをもって京都の左大臣九条尚実近衛邸を訪れ、堂上公家の詩歌を得て神宝とすべく制作を依頼しました。 

 近衛氏以下の公家が和歌や詩を読み、円満院門跡常前大僧正が絵を描き、詩を花牒に写し一服の帖として1770年(明和7年)湯泉神社に寄進されました。これが、世に言う「有馬六景」です。

その後、副本が版行され広く有馬の風景の良さが知られ、有馬の街は再び元の賑やかさを取り戻したと言われています。

鼓瀧松嵐

 近衛摂政太政大臣内前

 山松の

  嵐になおも響くかな

        鼓が滝の水のしらべは

 

大意

嵐が松の木を鳴らしています

鼓が滝の鼓の調べは風に乗って

ますます強く奏でています


有明桜春望

 九條内大臣道前

 千枝二月曙雲開

   無限東風馥郁来

   為是温泉洵美地

   春花偏壓異郷催

大意

2月の夜明けに多くの桜が雲間から現れ、芳しい香りの東風が吹いてきます。 

この温泉はまことに美しいところで、桜の花が異郷へ来ていることを感じさせます。 


巧地山秋月

  飛鳥井大納言雅重

 鹿の音も

  ふけ行夜半のやまのはに

   すみのぼるつきの

    かげのさやけき

大意

有馬の周りの山々が夜のとばりに包まれるころ、巧地山から明るく大きな月が昇っていきます。

近くでは、恋しい相手を想う鹿の鳴き声が聞こえてきます。 


落葉山夕照

四辻大納言公亭

 落葉之山名故

  奇斜陽風景

  更湛思懸知

    勝地常多賞在

  丹楓満墜時

大意

落葉山の名は夕日に映える、

印象的な風景のよるものです。  

最も景色が良いと賞賛されるのは、楓が紅葉し散る頃です。


温泉寺晩鐘

閑院大宰帥典仁親王

 いく里の暮おどろかす

    声ならん

 此やまでらのいりあいの

 

 大意

いくつもの里に響きわたるような大きな鐘の音が夕暮れに人々を驚かせます。

これは有馬の温泉寺の晩鐘です


有馬富士雪

※「南山」は中国にある終南山という山のことで、長寿や健康の象徴

九條左大臣尚實

  東海芙蓉元等名 

 三峰千歳雪花清

    何疑常浴温泉者 

 好擬南山比寿栄

大意

東海の富士と同じ名前です。

峰に清らかな雪が積っています

有馬温泉にいつも入浴している人   は、疑うことなくこの山を「南山」にたとえ、長寿にあやかろうとしています


有馬六景 今の姿

鼓が滝

巧地山(現 射場山)

温泉寺 鐘楼

 有明桜の碑

 落葉山

有馬富士